のぶろぐ | スペインで野球ときどきベースボール

サッカーの国スペインのバレンシアで野球をしながらスペインの日常を記す冒険の書(2020年3月に日本に帰国)

スペインで野球チーム探し

どうも、こんにちは。

淺沼です。

3月初めに帰国した自分ですが、日本での時間の進む速さに驚いています。

スマホSNSでは1年前に投稿した写真がピックアップされて、懐かしい気持ちになりながらも次の進路のための準備に追われながら毎日を過ごしています。

ということで、今回は自分がスペインでどのように野球チームを探したかをご紹介します。

自分は2019年3月から1年間スペインの野球チーム、バレンシア・アストロスというチームに所属していました。チームに所属するまでの過程もきっと誰かの参考になるのではないかと思うので、時系列ごとに紹介していきます。

自分がワーホリでスペインで1年間暮らしていくためには、何かしら収入を得ながら生活していかなければなりませんでした。そこで今まで続けてきた野球を武器にサッカー王国のスペインで野球に携わりながら収入を得て生活していこうと考えました。

伝手も当てもない。サッカー王国のスペインで、野球があるのかも分からない。そんな状況で、どのようにチームを探したのか。それでは見ていきましょう。

スペインワーホリに行くと決意

2018年9月頃、当時自分は東京で働きながらもスペインに行きたいなぁとずっと思っていて、30歳くらいでワーホリに行けるようぼんやりと計画を立てていました。

スペイン語も忘れないように東京でスペイン語の先生を探し、週に2回レッスンも受けていました。偶然その先生もスペインから日本にワーホリで来ていて、スペインのことやワーホリのことで話が盛り上がり、レッスン以外でも遊びに出かけたりするくらい仲良くなりました。彼といろいろ話をする中で、なるべく早くベストなタイミングでワーホリに行くことを決め、それが次の年だと考えて2019年にワーホリに行くと決めました。

またある日、当時働ていた会社に併設されているカフェで昼ご飯を食べていたら、隣の席に一組の外国人の男女が座ってきました。聞き覚えのある言語に、持っていた本には「JAPÓN」の文字。迷惑かなと思いながらスペイン語で話しかけると、びっくりしながらも嬉しそうに話しをしてくれました。彼らはスペインから新婚旅行で日本に来ていて偶然そのカフェに寄ったそうで、少しの時間一緒に話をさせてもらいました。来年ワーホリでスペインに行こうと思っていることを伝えると「絶対いい経験になるよ!応援してるね!」と言ってくれました。もう絶対来年ワーホリに行こうと決意した瞬間でした。

さらにその時期、SNSでスペインで野球に関わっている方数名と偶然つながることもでき、情報提供していただいたこともあって、この決意は揺るぎないものになりました。

この時期は本当に不思議な縁というか...つながりというか...流れが来ていたと思います!

「行け!」と言われていた気がします。

スペイン野球の情報収集と準備

それからは、ワーホリのことやスペインの野球のことを必死に調べました。仕事終わり、土日と空いた時間は全部ワーホリの準備のために使いました。

もちろんスペイン語の勉強も継続。レッスンのほかに毎朝1時間早く会社に行き、トイレに引きこもって始業ギリギリまで勉強しました。笑 そのおかげで渡西前にDELE-B1を取得することもできました。

留学やワーホリ経験のある方は分かるかもしれませんが、多くの場所では現地の語学学校などへの紹介や手続きを手伝ってくれるエージェントさんがいることが多いです。エージェントさんは現地の状況や情報を熟知しており、経験もあることが多いので依頼をすると慣れない環境で手続きをする手間が省けて留学やワーホリの目的に集中しやすくなるので、不安な方はぜひそちらも検討してみてください。

自分は今回のワーホリの目標の一つとして、「なるべく全部自分でやる」と決めていたのでエージェントさんにはお願いしませんでした。(ちなみにスペインは野球マイナー国なので野球のエージェントはいません。野球がメジャーな国では野球専門のエージェントやその会社もあると思うので、気になる方は調べてみてください。)

ましてや今回は100%自分のわがままで行くので、手続きや現地とのコンタクトなど全部自分でやれないようであればワーホリに行く資格がないとも思っていたので、できる限り自分の力でやるように意識しました。

もちろん留学やワーホリをする際にエージェントさんにお願いすることはメリットしかないと思うので、エージェントさんにお願いすることもオススメです!

さて、インターネットでスペインの野球について調べてみると、少しでしたが情報を見つけることができました。「野球があること」「野球連盟があること」「プロではなくアマチュアチームがあること」その程度でしたが、自分にとっては十分でした。

早速ノートにそのことをまとめました。

そしてコンタクトをとるために準備を始めました。

自分がやったこと

・各チームの情報収集(所在地、HPの有無、連絡先の有無 etc.)

最初は国内に何個かある野球連盟にメールで問い合わせ。すると「残念ながら連盟では直接チームを持ってないから契約はできない。スペインでは連盟ごとにチームが加盟しているから直接チームと連絡を取ってみて」と返事がありました。

ということで連盟のHPに掲載されていた加盟チームを1つずつ徹底的に調べました。HPの有無。連絡先の有無。それらがなければFacebookInstagramTwitterなども調べました。怖いくらいしつこいですね...笑

・履歴書の作成

次に履歴書を作りました。その理由は、真剣にチームに入りたいという意志表明、アマチュアチームなので選手ではなくコーチとして有償で契約してもらうため、海外での野球経験の証明など、本気度を見てもらうためです。参考に作った履歴書を掲載しておきます。

f:id:asanumanobushige:20200509121624p:image

f:id:asanumanobushige:20200509121636p:image

・推薦状の依頼

海外での野球指導経験があることを証明するために、エルサルバドルでお世話になった同僚にスペイン語で推薦状を書いてもらう依頼をして書いてもらいました。

・滞在地方の決定

地方ごとのチーム数、日本語での現地情報や現地に在住している人のブログなどを調べまくりました。(気候、物価、住みやすさなども調べるため)

f:id:asanumanobushige:20200509124148j:image
f:id:asanumanobushige:20200509124141j:image

f:id:asanumanobushige:20200509121700j:image

・履歴書の提出

滞在地方を絞った後は、作成した履歴書をメールで送付しました。

自分は最初にバレンシア地方のチームに履歴書を出しました。理由はバレンシアには6つの野球チームが存在し、連絡先を持っているチームが多かったからです。6チーム全てのチームにメールで提出しました。

エルサルバドルでの経験から、返信が来るまで時間かかるのは当たり前。返事が来なくても当たり前。全チームから返信が来なかったら、別の地方に狙いを変えて連絡してみる。国内全てのチームから返事が来なかったら、最悪現地について直接チームにお願いしてみようと考えてもいたので、ダメ元でメールを送りまくりました。

バレンシアには野球チームが多く、中心地に集まっていたので、どこかは入れるだろうと思ってました。なので返事がなかったらバレンシアに行こうともなんとなく思ってました。

・1つのチームからの返信

数日後、奇跡的に1つのチームから返事がありました。

バレンシア・ピラータスというチームです。連絡を取り合ってみると「うちのチームはレベルが低いから、もっとレベルの高いチームの人に聞いてみるよ」と連絡があり、飛び上がるくらい嬉しかったです。ピラータスの担当者は自分がスペインについてからも時々連絡をくれて、会ったこともない自分を親身に気にかけてくれたので感謝しかありません。

バレンシア・アストロスからの連絡

そして紹介先のバレンシア・アストロスから連絡があり、やり取りをした結果、チームに加入できることが確定しました。スペインでも野球ができることが決まった瞬間です。

ぶっちゃけ返事が来ると思ってなかったし、ピラータスから返事が来ただけでも泣きそうなくらい嬉しかった。そして紹介先のアストロスから連絡が来た時の感動は今も覚えています。

そして加入するために、「履歴書のほかに経歴や投球動画なども送ってくれ」「コーチとしてか選手としてか」「コーチなら有償での契約だが多くは給料を払えないが生活費くらいは何とかしてあげる」「バレンシア到着日に空港に迎えに行く」などのことも連絡を取り合う中でお互いで決めていきました。

 バレンシア到着・チームとの契約

日本を発ち、無事にバレンシアに到着。担当者が迎えに来てくれていました。

クラブハウスへ行き、監督とマネージャーに挨拶。そして書面での契約。

契約書には「有償でコーチとしての契約で1ヵ月100ユーロ」と書かれていました。

最初自分は100ユーロを12万円くらいだと勘違いして、月12万円くらいで契約できたと思って喜んでいたけど、よくよく考えたら1ユーロ120円。つまり月1万円と少し。頭が真っ白になりました。100ユーロじゃとても暮らしていけません。詳しく聞いてみると、「急遽予算が足りなくなってしまって、この額になってしまった」とのこと。

自分も少しパニックになっていたので、数日考える時間をもらいました。そして後日「申し訳ないけど、月100ユーロでは生活できない。だからコーチの契約はできない。でもせっかくスペインに来たので、無償でいいので選手として契約してほしい。スペインの野球を勉強させてほしい」と相談しました。首脳陣は快く承諾してくれて、とりあえず選手としてチームに所属できることになりました。

f:id:asanumanobushige:20200509122328j:plain

契約後のドタバタ

なんとか無償で選手契約となりましたが、その契約によって新たな問題が...生活をしていくために仕事を探さなきゃいけなくなりました。しかしスペインは失業率が高くスペイン人でさえ仕事を探すのに苦労している状況。それからは毎日チームメイトに仕事がないか聞いたり、インターネットでバレンシアの求人を探したりしました。

そして住居の問題も...日本を発つ前にバレンシア郊外に半月だけ安宿を借りていていました。その期間中にゆっくり長期で住める家を借りよう思っていました。その期日もせまっていたので家探しや住民登録、携帯電話の契約など一気にやらなければならないことが重なってしまいまたもやパニックに...その上体調も崩しました。

ある日、ネットを見ていると日本食レストランの求人を発見。急いで履歴書を作って担当者にメールしました。翌日返事が来て面接してもらえることに。そして運良く採用!

なんとか仕事も見つかって、家も見つかり、少しずつ生活も安定していきました。

その結果、野球もでき、仕事も充実、幸せな一年間が過ごせました!

 まとめ

野球があるかも分からないスペインで、自分で情報を集めて、履歴書作って送って、返事が来て、バレンシアを選んで、スペインに飛んで、契約トラブルがあって、急遽仕事探し。今思えば結構綱渡り的な危ないことやってたけど、自分で道を作っていく楽しさみたいなものがあった。多分、日本、エルサルバドル、スペインで野球に携わったのは世界で自分だけ。自信にもなった。

だからこれから何かやってみたいことがある人で前例とか方法とかがなくて困ってる人がいたら、何でもいいから動いてみてほしい。一歩踏み出せば絶対何か変わるから。

大丈夫!

なんたってこんな自分でもできたから。

f:id:asanumanobushige:20200509121844j:plain