のぶろぐ | スペインで野球ときどきベースボール

サッカーの国スペインのバレンシアで野球をしながらスペインの日常を記す冒険の書(2020年3月に日本に帰国)

一生食べられないチュッパチャップス

みなさん、こんにちは!

突然ですが、みなさんはチュッパチャップスは好きですか?

甘くていろんな味があってポップな感じがあって最高ですよね!自分も大好きです!

実はチュッパチャップスはスペイン生まれのキャンディーで、あのロゴとデザインはスペインの画家のサルバドール・ダリが描いたものです。

子どもから大人まで大人気の甘くておいしいチュッパチャップスも自分にとっては少し苦い思い出があります。

今日はそのことを少しお話できればと思います。

それではいきましょう。

チュッパチャップスと苦い思い出

それは青年海外協力隊エルサルバドルで活動していた時にさかのぼります。

当時自分は地方に住んでいました。時々首都にあがり大きなスーパーに首都でしか手に入らない食材(醤油や調味料など)を買いに行っていました。首都には気軽に来れるわけではなかったので首都に行く際はなるべく食材を買い込み地方で自炊していたのでいつも買い物袋がパンパンになるくらい買い込んでいました。

ある日の夕方、いつものように食材を買い込んでスーパーを出ようとしたら突然大雨が降ってきました。首都には協力隊員が泊まれる借家があり、スーパーからも近く特に急いでいるわけではなかったので雨が止むまで店先で雨宿りしていました。そしたら後ろから自分にむかって「わぁ!なんてたくさんの食材だ!すごいなぁ!」という声が聞こえ、振り返ってみるとスーパーから一人の男性が出できました。その人も買い物を終えて店から出てきたところでした。スーツを着て感じの良さそうな男性で、袋の中には菓子パンやマシュマロやチョコなどいくつかのお菓子が入っていました。

土砂降りの雨に店先から出られず二人で「すごい雨だね~」と雨が止むまで話すことにしました。

どうやらその男性は、エルサルバドルの中でも特に治安の悪いところに住んでいて、毎日出稼ぎで首都に来て働いているということでした。家ではお嫁さんと子どもがいて、そのお父さんが一日働いた稼ぎでやっと食べていけるという話をしてくれました。袋の中の菓子パンやお菓子も、安くてなるべくエネルギーになるものということで買っていたそうです。

日が暮れると治安が一気に悪くなるので早く帰らなきゃいけないのに大雨で外に出られない。穏やかに話していたその人からも少し焦りが感じられました。

30分後くらいに雨が止み、その男性は「さて、そろそろ行こうかな!」と言ったので、自分も「それじゃ僕も帰るよ!気を付けて帰ってね!」と返事を返すと、その男性が「日本のこととかいろいろ話してくれてありがとう!ましてやこの国を支援するために日本から来てくれているなんて本当にありがとう!」と言ってくれました。そして袋の中からチュッパチャップスを出して自分にプレゼントしてくれました。

対して自分は、何もあげられませんでした...

あんなに袋いっぱいに食料を買っていたのに...

チュッパチャップスを受け取った瞬間に、「あげていいのか?」「あげたところでこの人たちの暮らしは良くなるのか?」「魚より魚の釣り方を教えるのが自分達の役目なんじゃないのか?」etc. etc. etc...

と一瞬でいろんなことを頭の中で考えてしまい、なぜかとても怖くなって動けなくなってしまいました。

その間にそのお父さんは走ってバスに向かって行ってしまいました。

結局何も渡せなかった。

彼と自分は「地方から首都に来て、そのついでに食料調達をして帰る」というある種同じ状況。生まれや環境が違っても全く同じ状況。ましてや彼の方が絶対的に生きる上で過酷な状況。

そこで何かをあげられる者。そうでない者。

この後悔の差は測れないくらい大きい。

自分は小さかった。その時の後悔は今も残ります。

おそらく彼は自分にチュッパチャップスをくれたことを忘れてるでしょう。彼にとっては忘れるくらい当たり前で小さいことだったと思うから。

あの時何かあげられていたら多分このチュッパチャップスのことも忘れていたと思います。もらってすぐに食べていたかもしれません。

なんとなく保管していましたが、なんとなく食べることはできませんでした。帰国する際の荷造りでも捨てようとも思いませんでした。それがなんだかんだ今も残っています。

それからは困ってる人がいたらなるべく声をかけたりできる範囲で助けたりしてるつもりです。まだまだ考えちゃうけど。

 

「考える前に動く」ってよくいうけど、これはめちゃくちゃ難しいこと。

だから普段から「迷ったら動く」って意識して考えておく

そうしておくと「考える前に動く」まではできなくても「考え...動け!」くらいはできる。

 

チュッパチャップスを見つけるたびに、あの時のことを思い出して、優しくいよう。考える前に動けるようになろうと思い出します。

自分にとってこのチュッパチャップスには「エルサルバドルでの人としての後悔」があります。

 

でもチュッパチャップス自体は好きなので買ったものは食べます!!!

 

一生食べられないチュッパチャップス

終わり。

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