スペインと中南米のスペイン語の違い
¡Hola chicos!
どうも、淺沼です。
自分は今、スペインにワーキングホリデーで滞在中ですが、2015年~2017年までの2年間中米のエルサルバドルという国で青年海外協力隊として活動していました。
どちらの国もスペイン語圏の国ですが、そのスペイン語に若干の違いがあります。
そのスペイン語の違いから先日少しトラブルになった出来事を紹介します。
スペインのスペイン語と中南米(特にエルサルバドル)のスペイン語の違いも紹介するので、旅行や留学を考えている方は参考にしてみてください。
(今回はカスティジャーノやカタルーニャ語などスペイン各地で話されている言葉の違いではなく、スペイン国内のスペイン語と中南米のスペイン語の違いを紹介します。)
スペインと中南米のスペイン語の違い(日常で感じること)
まずはスペイン(歴5カ月)と中南米(歴2年)のスペイン語の違いを所感で簡単に紹介します。
スペイン
・流れるように話す。しかも話すスピードも速い。
例:Gracias→グラthシアス / En el parque→エネルパルケ
・会話時にTú(君)やVosotr@s(君たち)を使用。(活用も同様)
例:¿Cómo te llamas? (君の名前は何ですか?)¿Venís mañana?(君たちは明日来る?)
中南米(特にエルサルバドル)
・カタカナ発音。比較的ゆっくり話す。
例:Gracias→グラシアス / En el parque→エン エル パルケ
・会話時にUsted(あなた)やUstedes(あなたがた)を使用。(活用も同様)
例:¿Cómo se llama?(あなたの名前は何ですか?) ¿Vienen mañana?(あなたたちは明日きますか?)
などなどこのようなことが大きく違います。
さらに細かいことは記事の後半で紹介します。
「あなた」と「君」どちらで話す?
自分はエルサルバドルでスペイン語を習得したので、ゆっくりとカタカナ発音のような話し方に慣れてしまっているので、流れるように話すスペイン人の会話が聞き取れないことも多いです。
またスペイン語は人称によって動詞を活用しなければならないので、「あなた」で話すか「君」で話すかで動詞の活用も変わってきます。
スペイン語主格人称代名詞
一人称単数 Yo(わたし)
二人称単数 Tú(君)
三人称単数 Él(彼)/Ella(彼女)/Usted(あなた)
一人称複数 Nosotr@s(私たち)
二人称複数 Vosotr@s(君たち)
三人称複数 Ellos(彼ら)/Ellas(彼女ら)/Ustedes(あなたがた)
エルサルバドルではどんな人と話す時も「Usted(あなた)」や「Ustedes(あなたがた)」の動詞の活用をしていていました。これは中南米の多くの国でそうではないでしょうか。
青年海外協力隊の派遣前訓練所で自分の担当をしてくれた先生も『中米では「あなた」や「あなたたち」で話すから「Tú(君)」や「Vosotr@s(君たち)」、「君」や「君たち」の活用は覚えなくていいよ』と言っていました。
実際エルサルバドルの現地の人でも非常に親しい人の間でしか「Tú(君)」や「君たち」の動詞の活用をしていませんでした。
当時の自分のカウンターパートは自分に対して「Tú(君)」で話していましたが、自分と20も30も年の上の人だったため、自分はその人に対して「Usted(あなた)」で活用していました。
しかしスペインでは、初対面でも「Tú(君)」で話すことがとても多いです。
スペインでも「Usted(あなた)」で会話をすることもありますが、年配の方やかなり立場の上の人たちに対して使う印象です。
Usted(あなた)とTú(君)のニュアンスの違いは、日本語で言う敬語とタメ語のようなものという感じです。※あくまでニュアンスとして
中米のスペイン語に慣れている自分にとっては、最初から「Tú(君)」で話されると「なんだかリスペクトがないじゃないの?」「なんか馴れ馴れしいな...」などと感じてしまいます。
実際はそんなことないのですが、今まで「Usted(あなた)」の活用でしか話してこなかった自分としては、この時に違和感というかムズムズする感じが今でもとれません。
そのことから初対面の人と自己紹介をするときに相手が「Tú(君)」で話しかけてきても自分は「Usted(あなた)」で返して会話をしていました。
スペインの人からすると「Usted(あなた)」の呼び方で会話をする自分に少し距離を感じてしまうのかもしれません。
少し前に、その言葉遣いでちょっとしたトラブルになってしましました。
自分が仕事を始めた頃、職場でずっと働いている人に自己紹介した時の会話です。
自分「Hola, buenos días.」(やあ、おはようございます)
相手「Hola,tú eres nuevo?」(やあ、君は新しい子?)
自分「Sí, soy Nobu! desde ayer empecé a trabajar. Mucho gusto. Y cómo se llama usted?」(はい。ノブと言います。昨日から働き始めました。よろしくお願いします。あなたは何というお名前ですか?)
相手「Qué? usted? No soy abuela! 」(何?あなた?私おばあちゃんじゃないんだけど!」
・・・
そう言ってその日は名前を教えてもらえませんでした。
その後に中米でスペイン語を身に着けたことを必死に説明して何とか誤解が解けました。今は会う度にそのことをいじられ自分が「Tú(君)」、彼女が「Usted(あなた)」でわざと会話をするやり取りがあります。
なぜ違う?スペインのスペイン語と中南米のスペイン語
さて、ここからはなぜスペインのスペイン語と中南米のスペイン語が違うのか。
様々な諸説がありますが、15世紀~16世紀の大航海時代が大きく関わっているといわれています。
探検家のコロンブスがアメリカ大陸に到達してからヨーロッパの国々によるアメリカ大陸の植民地化が行われました。
当時のスペインは積極的にアメリカ大陸に進出し、植民地にした過程によってスペイン語がアメリカ大陸にも伝わりました。
そのようなこともあり、現在は20カ国で公用語、4億8000万人以上の人々が母国語としてスペイン語を話すようになりました。※Instituto Cervantes調べ
母国語話者の人数では中国に次いで世界2位の言語となっています。(第二言語話者を含めると中国語、英語に次いで世界3位)
一言で「スペイン語」と言っても、多くの国や様々な地域の文化が交じり合いながらスペイン語はそれぞれの地域独特の進化をしているというわけです。
かなり大雑把に言うと、日本の方言のようなものがスペイン語にもあるという感じです。そのことから中南米のスペイン語でも国によって使う表現や意味が異なってくることも多いです。アクセントや濁音や抑揚、敬語(関西弁の「あのね」など)のように同じ言語でも住むところが違えば方言も生まれてくるのと似ているのかもしれません。
スペイン語の使われ方の違い
ということで最後にスペインと中米(エルサルバドル)で使われるスペイン語の違いを詳しく紹介して終わろうかと思います。
・あいさつ
ス)Hola / エ)Buenas
・よろしく
ス)Encantad@ / エ)Mucho gusto
・調子はどう?
ス)Qué tal? / エ)Qué honda(若者の間で使われる)
・別れ際のあいさつ
ス)Hasta luego / エ)Nos vemos
・今すぐ
ス)Ahora mismo / エ)Ahorita
・ありがとう
ス)Muchas gracias / エ)Mucha gracias
・どういたしまして
ス)De nadaやNo pasa nada / エ)VayaやA la orden
・大丈夫(オッケー)
ス)Vale / エ)Está bienやVaya、Va
・来週
ス)La semana que viene / エ)Otra semana
・問題ないよ
ス)No pasa nada / エ)No hay problema
・召し上がれ(食事のときにかける言葉)
ス)Que aproveche / エ)Buen provecho
・二日酔いです
ス)Tengo resaca / エ)Tengo goma
・ジュース
ス)Zumo / エ) Jugo
・車
ス)Coche / エ)Carro
・運転する
ス)Conducir / エ)Manejar
・ごみを捨てる
ス)Tirar basura / エ)Votar basura
・怒る
ス)Enfadarse / エ)Enojarse
・乗る、拾う
ス)Coger / エ)TomarやAgarrar ※Cogerは中米ではスラングとして使われる
・渋滞
ス)Atasco / エ)Trabazón
・夫
ス)Marido / エ)Esposo
・携帯電話
ス)Móvil / エ)Celular
・ジャガイモ
ス)Patata / エ)Papa
・急いで!
ス)Date prisa / エ)Apúrese
・なるほど!、そうだよね!
ス)Vale、Ya / エ)Caval
・歩いていく
ス)Ir a pie / エ)Ir a pata (ちょっとスラング風)
・動詞Extrañar
ス)奇妙に感じさせる / エ)寂しく思う
・本当?
ス)¿De verdad? / エ)¿De veras?
・髪のない人
ス)Calvo / エ)Pelón
・~した(過去形)
ス)現在完了形 / エ)点過去形
(番外編)
エルサルバドルでは若者の間でVoseo(お前、お前たち)が使われています。
このように同じスペイン語圏でも使う単語や表現が違うのは面白いですね!
最後に、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』でジャック・スパロウのセリフ「力で奪え、情けは無用」にもスペインと中南米で違いがあります。
ス)Arrasa con lo que veas y generoso no seas 直訳:見るものをなぎ倒せ、寛大になるな
中南米)Hurta lo que quieras y nada devuelvas 直訳:好きなものを盗め、何も返すな
このほかにも「自分が行っていたスペイン語圏ではこんな言い方をしていたよ!」などあればぜひ教えてください!
それではまた!
Hasta luego!
Nos vemos!
Adiós!
Chao!