のぶろぐ | スペインで野球ときどきベースボール

サッカーの国スペインのバレンシアで野球をしながらスペインの日常を記す冒険の書(2020年3月に日本に帰国)

バレンシアに来て一番悔しかった日

どうも、最近ちょっと落ち込み気味の淺沼です!

 

先日試合がありました。

自分のチームはピッチャーが少なく、ピッチャーの自分は他の選手と比べても試合で投げる機会が多いです。

 

その日も試合当日にコーチに「今日先発ね!」と言われ試合前のウォーミングアップに臨みました。

キャッチボールでちょっと肩がフワフワした感じがありましたが、体のハリやキレはとても良かったので、今日はいける!と感じました。

 

試合が始まり、味方の攻撃が終わってマウンドへ。

しかし全然ストライクが入らず、いきなり先頭バッターにフォアボール。

こっちのマウンドは日本に比べてとても硬く、腰が良くない自分は調整も含め先頭バッターに投げているので、特に気にはしませんでした。

しかしその後も3つのフォアボールを出し、続いてデッドボールを当ててしまい押し出しで失点。

この頃には自分の思うように身体が動かないことに気付いていました。

それでもチームメイトは「ノブ、大丈夫だ!」「ど真ん中にストレート投げてやれ!」「いこういこう!」と励ましてくれる。

 

しかしさらにヒットを打たれ、あっという間に4失点。

その時点でストライクは2球しか入っていませんでした。

さらに観客からも野次が飛んでくるように。

スペイン語が分からないわけではないから、その野次を聞いてさらに動揺していたと思います。

 

それを見かねたコーチがマウンドに来て、

「Dame la bola.(ボールちょうだい)」

と一言。

 

そうして自分はマウンドを降りました。

結果ワンナウトも取れずに降板。

登板から降板まで一瞬で終わってしまった。

 

「ノブ、次の機会に頼むな!」とチームメイトが言葉をかけてくれたのを背中で感じベンチへ戻る。

マウンドからベンチまでの距離がもの凄く遠く、ベンチに戻るまでの時間がとてつもなく長く感じました。

 

その後、急遽別のピッチャーが登板しましたがヒットを打たれ、自分の出したランナーが生還し6-0の展開に。

最少失点で見事にピンチを切り抜け、ベンチに戻ってきた彼に、

「本当にごめん。」

と言うと、

「気にすんな!こんなの何でもないよ!逆転しよう!」

と言ってくれました。

その言葉の後に涙が止まらなくなってしましました。

 

ベンチでうつむいていると、みんなが声をかけてくれる。

「ノブ、さては寿司ばっかり食べてるんだろ?パエリア食べればいいピッチングできるからパエリアめっちゃ食え!」

「まだ始まったばっかりだから心配するな!」

 

優しい言葉を聞くたび、一層悔しさと情けなさがこみ上げてきました。

 

チームは必死に追い上げるも試合は12-7で負け。

自分の自責点は6点。

もし自分が投げていなければ勝てた試合...

 

いつも試合後は勝っても負けても球場の隣のカフェでみんなで雑談をするのですが、その日は隠れるように帰りました。

大好きなバレンシアの街並みも全然目に入らず帰宅。

 

その夜は悔しくて部屋でも涙が止まりませんでした。

 

 

ワーキングホリデーでバレンシアに滞在している自分は最長一年間しかスペインにいることができません。

本来は元々チームに所属していて、何年もチームに在籍できる人が試合に出たほうが絶対にいい。

一年間しかいられない自分が試合に出ることで、元々在籍していた誰かが試合に出られるチャンスを奪ってしまうことになる。

だからこそチームの役に立てるよう結果を残したかったのですが、こんな結果になってしまいました。

 

今まで野球を続けてきて、ワンナウトも取れずに降板したことはありませんでした。

多分そんなピッチャーは99%いないと思います。

 

マウンドは世界一低い山だが、世界一登るのが難しく険しい山だ。

                            菊池雄星 公式ブログより引用

 

この言葉を実感した日でもありました。

もう二度とこんな思いはしたくありません。

それから今日までずっと引きずっていますが、この記事を書くことで気持ちの整理をつけてリスタートしようと思います。

 

「2019年7月14日」

バレンシアに来て一番悔しかった日。

 

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